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2016年2月23日火曜日

事件サマリー:第39回戦 忍び寄る鴻海テリー・ゴウ③

第39回戦 忍び寄る鴻海テリー・ゴウ③
(2014年9月頃)

「フカダ…。今日は裁判なの。弁護士を雇うお金も無いから、心細いわ」
台湾から、電話がかかって来た。マイケルの台湾公開企業アトム・テクノロジーの秘書ジュディ、現在は清算人だ。
元株主の黄氏は、納税義務の無い清算会社アトムを訴えた。つまり、なくなった会社が税金を払っていなかったと主張して損害賠償請求を行ない、マイケルの知的財産権は全て株主にあると主張しているのだ。

「清算結了後の納税義務を怠った件でしょ?会社はもう無いのに、負けるわけないよ。頑張って」

「フカダは台湾の事、分かっていない。台湾は青幇が国会も警察も司法も全てコントロールしているのよ」

「でも、さすがに存在しない会社の納税義務を議論するとか、ちょっと難しいんじゃないかな。淡々と事実を応えれば大丈夫だよ」
深田はジュディを諭して電話を切った。少し、落ち着いてくれたらいいけど。
自分も最初は裁判が怖かった。でも、何も悪い事をしていないので事実を淡々と述べるだけでいいということが分かった。

マイケルが2005年にFBI被害者保護プログラムでアメリカへ亡命し、その後の公開会社アトムの清算手続きを行なったのはジュディだった。

「まったく、どいつもこいつも・・・」
中国共産党配下のスパイと組んだ青幇はしつこい。こないだの産業開発センターにも元副社長がパシウム・ディスプレイの権利を求めてきたところだ。

―  パシウム・ディスプレイ

ま だ出来上がってもいない、マイケルが構想中のディスプレイを自分のものだなんて、どうにかしている。パシウム・ディスプレイのネーミングの時に、深田とマ イケルが口論になったことがあったが、その時に仲裁に入ってくれたのは紛れもないエリちゃんだった。パシウムでは、日本人に発音がしにくいしイメージが湧 かないから、情熱と掛け合わせて『パシオン』にしようと深田が提案したところから口論になったのだ。

「萌絵ちゃん、マイケルさんがパシウムと呼ぶには理由があるんですから、そうしてあげたらいいんじゃないですか?」
あの時もエリはそう言って深田の肩をポンと叩いた。

エリちゃん。なんでだ。

また涙が出そうになったが、グッと堪えた。
きっと、すぐにジュディから報告の電話が入るだろう。
感傷に浸っている場合では無い。
何が起こってもいつでも冷静でいなければ、頼りにしてもらえる人間にはなれないのだ。

ルルル。
オフィスの電話が鳴った。

「フカダ、大変よ」
ジュディだ。

「今度は何?」

「黄氏がパシウム・ディスプレイの権利を主張してきた」

「何?マイケルの3Dディスプレイの権利を請求してきたの?」

「違う、300万ドルが払えないなら、ヴァトロニと『パシウム・ディスプレイの権利』を株主に譲渡せよと名指しで主張してきたの」

受話器を持つ手が震えた。
パシウム・ディスプレイなんて商標を知っているのは、10人もいない。産業開発センターでは「光線再生方式のディスプレイ」として提案したので、知っているのは取引先一社と横田君、ダイちゃん、マイケルと私くらいだ。

そして、エリちゃん。

「元株主はディスプレイ開発していないでしょ?関係ないじゃない」

「事情が変わったの、フカダ。そこの社員の話によると、最近、ディスプレイ工場を買った台湾企業が元株主の会社に出資したらしいの」

ディスプレイ工場を買った台湾企業?

いったい、それってどこの会社だ?

TO BE CONTINUED

2016年2月18日木曜日

事件サマリー:第38回戦 忍び寄る鴻海テリー・ゴウ②

「そんな事ができるんですか!?」

都立技術開発センター(仮名)の光学エンジニアの横田君は声を上げた。
米半導体大手に頼まれて作り始めたリアルタイム3D合成チップのめどが付いたので、現実の空間と類似の光線を再生して映像が浮き上がって見える光線再生方式のディスプレイの研究を一緒にしようという提案をしたのだ。

「その名もパシウム・ディスプレイだ」
マイケルは嬉しそうに答えた。いつの間にか商標まで考えているらしい。光のパスを再生するのでパシウムか。

「光線再生方式のディスプレイ、僕もいつかは作れると思っていたんです。前の会社は、全然冒険させてくれないから、研究がやりたくて僕はここに移って来たんですよ」
横田君は瞳をキラキラさせた。
夢を捨ててないエンジニアは素敵だ。

横田君はカチャカチャと光学シミュレータを叩き、マイケルの理論が可能か銅貨を確認した。
「できる。理論上はできる」
横田君はパソコンに向かって頷いた。

「理論上できても、そこからが難しいんです」
パイオニアで3Dディスプレイを作ってきたダイちゃんが釘を刺した。
ハードウェア作りはソフトウェア作り以上に難しい。というか、細かいハードルが多い。物理的な世界が関わってくるので、つまらない話だがチップ設計に成功しても電流や抵抗、歩留まりなどでコケることなんてザラだ。

特に光は、電波と同様で一筋縄ではいかない。光は曲がる、散乱する、屈折率は色によって異なる、など現実世界でテストする時とシミュレーション上でテストするのでは天と地ほどの差が発生する。

「焦点はピクセルをいかに作るか」
マイケルは呟く。

「材料に何を選択するか、材料の開発も必要になるでしょう」
ダイちゃんがマイケルに続く。

「今から材料なんて現実的ではない。ありものでラフな実験を行なってからブラッシュアップをするのはいかがでしょうか」
横田君が提案をした。

「でも、こんな巨大プロジェクト、どこから手を付けましょう?」

「まずは、複数の光線を発生させられるピクセルの研究開発から始めよう」

「そうしましょう。では、助成金申請には技術評価が必要なので、僕も資料作成をお手伝いします」
横田君は大はしゃぎだった。
そ れはそうだ。研究が好きな人なら、できそうでできなかった未知の分野に踏み出してみたいという願いを持っている。挑戦したい。でも、自分ではカバーできな い技術がある。だから、エンジニア同志でコラボレーションするのが理想だが、組むエンジニアが自分の理想のソリューションを持っているとは限らない。で も、チップで映像の高速処理ができるなら、可能性は低くは無い。

技術評価の日がやって来た。
審査員に技術説明を行ない、反応はかなり良かった。


待合室に戻ると横田君が駈け込んで来た。

「深田さん、技術点において横田・R社チームがぶっちぎりナンバーワンです!」

「ハイ・ファイブ!!」
深田、横田、マイケル、ダイちゃんは手を上げてバチーンとタッチをした。
ディスプレイを作るのでなく、光線再生型ピクセルの開発にテーマを絞ったのが良かったのだ。

お台場からの帰り道、全員が興奮を隠しきれない様子だった。
リアルタイム3Dを開発してきたマイケルに浮かび上がる3Dディスプレイの研究を続けてきたダイちゃん、皆の思い描いていた夢の研究に一歩近づいたのだ。

数日後、横田君から「深田さん。後でお電話宜しいですか?助成金事業の件なんですけど」とメールがあった。
深田は胸騒ぎがして、すぐに横田君に電話を掛けた。

「どうしたの?」

「実は、小林英里さんが・・・」

「エリちゃん?元副社長の?」

「その、小林英里さんがR社いなくなったので契約は出来ないと言われました」

「どういうことなの?」

「パシウム・ディスプレイの権利を小林英里さんが主張しているから、権利争いに巻き込まれたくないのでうちは関わりたくないそうなんです。だから、本当にごめんなさい」

さっきまで明るかった視界が、急に真っ暗になったような気がした。
エリちゃん。あんなに何年も仲良くやって来たのに、いなくなってもとことん妨害するのか。

パシウム・ディスプレイ。
始まってすらいない製品の、権利の取り合いが始まった。

TO BE COTINUED

事件サマリー:【第37回戦】忍び寄る鴻海テリー・ゴウ①

(本編です。2014年暮れごろの話)

「リアルタイム3Dチップを作ろうと思う」
マイケルが唐突に言い出した。

「ハァ?」
深田は面食らった。こないだ作ったばかりのVatroni低遅延型動画伝送システムが出来上がったところで、まだ販売プロモーションにもロクに入っていない。

「ちょっと待ってよ。まだ無線動画伝送システム売って、回収しないといけないんです」

「新製品が無いと売れないだろう。というか、もう殆どできた」
マイケルは事もなげに答えるので深田はずっこけた。
実 は、この世にリアルタイム3D合成ソリューションは存在しない。3D映画は右目と左目の映像を撮るために二つのカメラで撮影して、奥行き感を表現するのに CG屋がリタッチしているので異常に時間が掛かるし、コストも半端ない。ハリウッドでは3D映画製作の予算に数十億円かけることもザラだ。

「いつの間に作ってたのよ?」

「え?米大手半導体企業がリアルタイム3Dモデリングチップを一緒に作ろうって頼んできたので作っていたけど、フカダが忙しそうだから、言うのを忘れていただけだ」

「で、どこまでできたの?」

「カメラを複数台繋いで、システムに通すと3Dモデリングが出てくる」

「は、実写?」

「そうだ。リアルタイム実写3Dだ」

「そんなことできるの?」

「人間の目と同じだ。視差から奥行きを計算するだけだろ?それを高速でやればいいだけの話じゃないか」
今にも『地球人は知能が低いからなぁ』と言った雰囲気で宇宙人マイケルは淡々と答える。今の世の中、3Dモデリングの計算には何分もかかるのが普通だそれがリアルタイムなんてやばすぎる。

「そんなチップ作っちゃったら、またスパイが押し寄せてくるから気を付けてよ!」
深田はマイケルに抗議した。
マイケルと出会ってから第迷惑だ。
こいつは米軍の音速機用遠隔操作システムを作って以来、中国人民解放軍、国安諜報員、台湾暴力団青幇、その配下のフロント企業、日本からは在日朝鮮系のフロント企業やらが波のように押し寄せてきている。

「だから米大手と作ったんだよ。何かあったら、すぐに俺の代わりに訴訟してくれるだろう。それに、フカダはインテリヤクザが来たって、法廷でヤクザ弁護士が出てきたって怒鳴って追い返すような鬼子じゃないか」
マイケルは応える。

「なんだとぉ!!」
深田は額に青筋が立った。インテリヤクザとの怒鳴り合いの戦いや、柴田睦夫共産党議員お抱え弁護士梶原利之のチンピラぶりに深田がどれだけストレスを感じてきたかと思い返すと怒りでプルプルしてきた。

「怒るな、鬼子」
最近、周囲の中国人が私を鬼子と呼ぶようになったと思ったら、どうやらマイケルが言いふらしているようだ。

ピンポーン。
オフィスのインターホンが鳴る。
「こんにちは!ディスプレイ開発のダイちゃんです」

元パイオニアのディスプレイエンジニアのダイちゃんだ。

「マイケルさんに呼ばれてきました」

「え、何の件ですか?」

「映像が浮かび上がる3Dディスプレイの開発で伺いましたが」
ダイちゃんの言葉に深田は噴き出した。
そんな話聞いたことも無い。

「マイケル!まだ3Dチップも出来上がってないのに、3Dディスプレイ作る気なの?いい加減にしてよ。会社がパンクする!」
深田はキッとマイケルを睨み付ける。これ以上開発費ばっかりかけられたら、開発費を回収するどころの騒ぎじゃない。

「大丈夫だ。デコーダもあるし、あとは光学シミュレーションとマルチ光線ピクセルの開発だけで終わる」

「絶対にそれだけで終わらないし、そんな開発にかけるお金は無い!」
開発は素晴らしい要素技術があっても、部品の組み合わせや信号同期等のつまらないところで意外と時間が掛かる。時間が掛かればそれだけ経費が飛んでいくのだ。

「深田さん。お金なら、機構と一緒に助成金を取ればいいんですよ」
ダイちゃんはニコニコしながら答えた。

「そんなこと、できるの?」

「はい。東京都の技術開発センター(仮名)に行けばいいのです」
ダイちゃんの言葉で、三人はさっそくセンターのあるお台場に向かった。

続く

2016年1月18日月曜日

事件サマリー:第36回戦追記 併合上申の謎

36回戦の話は裁判所の手順が少しわかりにくかったと思うので、追記します。

併合上申は、新しい訴訟を古い訴訟に併合するという要求を書いた上申書のことで、新しい訴訟をする時に古い裁判と一緒にやった方が効率がいいので「併合して一緒にやりませんか?」と裁判官にお願いをするシステムです。

これは、両方の裁判官の同意が必要な手続きになります。

このアルファアイティーシステムによる深田新会社への訴訟の旧会社への訴訟との併合上申にはかなり不自然な点がありました。

1.訴状提出日が土曜日であること。

2.最初の担当部署が37部であったこと。

3.なのに、37部で取り扱った裁判官と書記官の名前が存在しないこと。問い合わせても「いない」としか言われなかったということ。

4.訴状提出が土曜日で翌月曜日には37部を素通りして48部に到着して同一期日同一法廷で口頭弁論が開かれることになったということ

5.48部にクレームすると、「併合されていない」と藤井書記官からの回答が来たこと

6.併合されていないなら、何故、37部素通りして48部にこの裁判が移動しているのかというふざけた話が残っているということ

7.梶原利之の上申書には「48部での訴訟における進行についても、新しい訴訟が提起されたら48部に口頭弁論を併合することが予定されている」と裏で遠田真嗣裁判官と話を付けていることを自ら露呈している。

下記、証拠画像です。

これ梶原利之弁護士が作った上申書の一ページ目ね。



問題の一文は赤線引いてます。
いつのまに遠田裁判官と連絡して同意を取ったのか?
裁判記録を見ても一切記録はありません。



こういうインチキをして一般市民を騙すのは、どうかと思うんですね。

私は執念深い性格なので発見しましたが、何も知らない人だったら騙されていると思うんですよ。

私は、そういうシステムの歪みみたいなのを悪用されていることが許せませんし、もしも、他の人だったらアッサリ騙されて四重請求裁判にあっという間に負けていたと思います。

これからも激しい戦いが続くと思いますが、皆様の応援を有り難く受け止めています。

2016年1月17日日曜日

事件サマリー:第36回戦 新法人への訴訟、旧法人への訴訟


(2015年一月、二月頃の話)

新会社は立ち上げから、世界最速の無線動画伝送装置Vatroniが売れ始めた。

それまでのVATRONIは、高速動画圧縮機能しかなかったのだが、それにフルHDを高速で伝送する機能が加わったのだ。

本人が自覚してないのが厄介なのだが、マイケルが作るものはいちいち世界初とか世界一だ。

「え、VATRONIって世界一だったのか?俺は知らなかった。普通に作ったらこうなっただけだ」
と、マイケル自身はこんな調子だ。
本人は自分の知能がどれだけ世の中とかけ離れているのが自覚に乏しいので、マイケルの技術を横取りしたがる輩からマイケルを守るのに周囲は大変なのだ。

「フカダァ!大変!!」
台湾のマイケル元秘書のジュディから電話が入った。

「ジュディ、今度はどうしたの?」

「マイケルの台湾の会社が訴訟されたの!」

「え?清算中でしょ?」

「株主の東元電機の黄茂雄の差し金みたいです。新しい無線動画伝送装置VATRONIの権利を主張してます」

「ブー!!」

深田は飲みかけのお茶を吹いた。
マイケルの台湾の公開会社なんて、10年近く前に解散したのに当時の株主がまだ権利を主張するなんてあり得ない。

しかも、主張する権利は深田の会社の製品だなんて、エレクトロニクス業界王道の「スートゥオウン(訴訟で潰して手に入れろ)」の王道を来ている。どれだけ貪欲なのだ。

ピンポーン

オフィスのチャイムが鳴る。
郵便局員だ。

なんだろうと茶色の封筒を受け取る。
訴状だ。

「また、裁判か!?」

アルファアイティーシステムからの新法人に対する訴状だった。訴状の内容は、前回と殆ど同じでその上添付の証拠は殆ど無かった。

「マイケル、アルファアイティーシステムから新会社への訴訟が始まった!」

「なんだと?内容はなんだ?」

「詐欺だと」

「バカ言え。新会社はアルファアイティーシステムと何の契約も無いし、架空請求の上に四重請求だろ」

アルファアイティーシステムは、旧R社、深田個人、マイケル個人にそれぞれ一千万円、さらに新会社にまで一千万円を請求し、合計四千万円請求してきたのだ。

深田は期日を確認すると、なんと、旧R社の期日と同一日時同一法廷同一裁判官遠田真嗣だ。

「そんな、バカな。新たに裁判を起こすと、東京地裁の50近くある部署にいる数百人の裁判官からランダムに裁判官が選定されるはずなのにそんな事あるか?」

訴状が提出された日は土曜日、37部に配転されたはずの訴状は翌月曜朝には遠田裁判官のいる48部に回されている。

「東京地方裁判所内に絶対に中国工作員がいる」 

確信した。

国賠訴訟の内容も部署に訴状が届く前に中国共産党に届いていた。そして、今度は受付素通りで梶原利之弁護士の思い通りになる裁判官のところに訴状が届いている。

深田は、この国の闇に不気味さを覚える。

自分たち、一般の日本人ができないことを何故中国人や在日の一派には可能なのだ。

東京地方裁判所、その闇の深さは絶望の裁判所で語られる以上の深さを予感させた。

2016年1月4日月曜日

事件サマリー:【第35回戦】 公安警察、ついに始動



「一個、二個、三個・・・」
深田は倉庫から在庫の部品を取り出して、数を数えていた。決算の棚卸で数を確認しないといけない。在庫と言っても、清算中の旧会社の在庫だ。

「これが売れたら、まだ資金繰りが楽なんだけど・・・」

新会社にも資金を出しているだけじゃなく、旧会社の分も立替支払いをしているので、この部品がお金になったら一番いいんだけどなと深田は考えた。

「ん、ちょっと待てよ・・・」
そうだ、なんで売らなかったのだ。
忙し過ぎて余った部品を処分するのを忘れていた。

「え?在庫ですか?」
仕入れ元の商社の営業マンが声を上げる。
「そう、これ、処分したいから売って欲しいんです」

「わあ、その高価な部品、確かに売れそうですね!いいですけど、どうしましょう?」

「取りに来てもらってもいいですか?」

「もちろん、いいですよ」

という返事から間もなく商社の営業マンがやってきた。

「そういえば、社長。S社から電話があって、エリさんと一緒に飲もうって誘われているんですよ」

「え、そうなの?」
深田は目が丸くなった。S社と言えば、国の研究所で入札をした会社で、R社はその下請けだった。エリがいなくなって、S社は一度深田のオフィスを無断で荒らしていったが、警察に届けたのに丸ノ内警察は被害届の受理を拒んだことがあったのだ。

「社長、大丈夫ですか?」
営業マンの声で深田は我に返る。

「あ、いや。エリちゃん、親が来て衰弱しきっていて歩くことすらできないって言われたまま連絡が取れないんですけど・・・」
深田の言葉に営業マンは『しまった』という顔をして、「今度、我々も飲みに行きましょうよ!僕、銀座の店で行きたいとこあるんです!」と言って帰って行った。

もやもやした気持ちでその日は終わった。
「でも、まあ、これで問題が一つ片付いて良かった」
そう呟いて深田はソファにもたれかかった。彼女の事は忘れよう。今は、仕事の事だけ考えるのだ。

一般的に、在庫部品はマーケットに出すと一週間くらいで売れてしまうらしいから、さっと換金できれば資金繰りだって助かる。

ところが、それから一週間経っても一カ月経っても商社から連絡は無かった。

「まったく、いつになったら売れるのやら・・・」

そう思っている矢先にオフィスの電話が鳴る。
「はい、R社です」
深田が電話に出ると、部品メーカーだった。

「ふ、深田社長。大変です」
『大変』か、久しぶりに聞いた言葉だ。エリがいる時、毎日のように『大変です』の一言で一日が始まった。

「なんですか、大変って」

「S社がうちに来ました!!」

「ええ、S社が?」

エリと会っているS社がどうして部品メーカーに行くのだ。

「何があったの?」

「実は、伝票を付け替えて欲しいと・・・」

「どういう意味?」

「うちが御社に売った部品をS社のものだと伝票を切り直してほしいと言われました」

「ハァ?そんなこと、できるわけないでしょ?」

「うちもそう言いましたが、S社からは『R社社長の深田萌絵にR社の部品を盗まれた。製品番号はあるから、それを元に伝票を切り直してほしい。公安警察にも相談して許可を得ている』って言われたんです」

「S社には納品終わってて、部品盗むも何も無いんですけど・・・」
うちの会社の部品を、私が盗んで私の会社の倉庫に保管した罪で訴える奴も頭が悪いが、それを真に受ける警察も警察だ。
S社は暴力団と関係があると言われている会社で、社員は頭が悪いと評判の会社だがあまりにも酷い論理構成だし、それを聞く警察もどうかしている。

「というか、うちの部品、私が会社の倉庫に入れててなんかおかしいですかね?」

「そうですよね。うちもそう思って、経理と法務と相談したんですけど、伝票の付け替えは出来ないと回答しました。ところが、おかしなことに製品番号をすべて持っているんです」

「え?」
製品番号を持っているとすれば、こないだ部品を預けた商社だ。商社の営業マン、そういえばS社と飲みに行くと言っていた。

「公安警察も被害届を受理したって・・・」

「本当!?」

「そうなんです。S社はそう言ってました。僕はありえないと思ったんですよ。だって、御社がうちから買った部品を、どうやって御社が盗むんですか?僕は何かおかしいと思うんです」

「そんなことって、あり得る?事件番号分かります?」

「そこまでは聞いてませんが、『嘘だと思うなら公安警察のJ氏に聞いてみろ』と言われました」
深田は絶句した。

公安警察のJ氏。
ファーウェイ事件が始まって以来、一年間深田は公安警察に通い、情報を提供してきた。その担当警部が、なんと私を容疑者としてファーウェイと組んだS社の被害届を受理したのだ。

「この国って・・・」
犯人は被害者になり、被害者が犯人に仕立て上げられる国になったのか。
そういえば、朝鮮総連の弁護士は元公安警察のトップだ。

相談する相手を間違えて、いつの間にか自分が犯人に仕立て上げられている。
いや、エリだ。公安警察にはエリと一緒に通っていた。

エリが失踪して、それまで何もしなかった公安警察がS社に事情聴取に行った。
エリが裏で情報操作していなければ、さすがに公安警察もS社の馬鹿馬鹿しい嘘を真に受けるはずがない。

あの商社のウェブサイトをクリックしてみた。
そこには、人民解放軍の衛星用半導体チップメーカーと提携したとのリンクが貼られていた。

TO BE CONTINUED

http://www.casilsemi.com/index.asp

2016年1月1日金曜日

番外戦 事件サマリー:【番外戦7】逆襲のジョエイ⑦


※ジョエイ・キャンベルはIRS(米国内国歳入庁)の職員だが、彼女を訴訟したらあて先不明で戻って来た。

マイケルの弁護士レイトンからマイケルに連絡があり、「来週、IRSの裁判だから外国に行かないように」と伝えられた。

奇妙なのは日程が決まっていないということだ。

裁判になれば、マイケルは日本に来れなくなるので大損失。

レイトン弁護士は勝手にFBI情報をIRSに流しているので、当てにならない弁護士だ。

こちらからもシリコンバレーで動ける弁護士を探しまわって、
「日本企業にIRS税務監査?あり得ないよ」
という、いつも驚かれるという反応。

残念ながら、少し遠いので受けてもらえなかった。

年末なので、なかなか人が見つからない。

お願いしますと頼むと、
「税務調査は専門外だから」
とのことだ。

「マイケル、ダメだった。税務は専門外だよ」

「脳足りん、深田。これは、租税裁判所の案件では無い。普通のカリフォルニア州立裁判所での裁判だ」

アメリカは普通の裁判所と租税裁判所は別々だ。

「はぁ?どういうこと?」

「俺は『国家不服重』で訴えられた」

「ええ?めちゃくちゃだね」

「新しい弁護士が見つからないように、わざと年末に訴訟提起して年始一番に開廷する気だ」

「新しい弁護士が見つからなかったら?」

「ゲームオーバーだ」

ヤバい。

来週っていっても、今日既に木曜日だ。
よほど、私を黙らせたいらしい。

しかし、Facebookはカリフォルニア州法なので差し止められても、ブログは可能だろうか。

毎日のように、エリちゃんの知人から「Facebook止めろ」とか「ガセネタ流すな」など言われている。

あと、数日。

もし誰か、年末シリコンバレーに居る弁護士が居れば紹介してください。

マイケルに連絡させます。

深田

番外戦 事件サマリー:【番外戦6】レイトンの請求書


レイトンから来た請求書の写真添付します。

連邦捜査の情報を漏洩することが、「税務アドバイス」なのか非常に疑問だ。

弁護士とは正義の為に戦うのではなく、あくまで職業でありビジネスである。

情報を高く買う人が真のクライアントなのだ。



Berliner Cohen LLPは超高い高給弁護士団だ。

皆さん、高給弁護士に騙されてはいけない。

この値段を見よ。メール書いただけで数百ドルだ。

番外戦 事件サマリー:【番外編4】逆襲のジョエイ④レイトン氏のメール



一つの訴訟には勝ちそうだった。
もう一つの訴訟には勝った。

気持ちは晴れたはずだったのに、シリコンバレーで警察がマイケルを探しまわっていると聞いて眠れない日々へと暗転したのだ。

「はぁ」

ため息がちにオフィスのドアを開ける。銀座のオフィスは今朝も料亭から漂う焼き魚の匂いが充満しており、マイケルはオーガニックフラワーの消臭剤でそれと戦っていた。

「マイケル、弁護士のレイトンは何とかしてくれないの?」

深田はどかっと座って腕を組んだ。

「レイトンのメールを読んだか?」

「え?ジョエイが諜報機関の名前教えてって言ってくれってヤツ?」

「英語音痴の脳足りん。これを見ろ」

マイケルは不満気にメールを見せた。

『マイケル、私は今朝、ジョエイ・キャンベルとニコラス・コナーズとカンファレンスコールを開いた。

ジョエイは君が関係する捜査機関、諜報機関の人間の名前を教えてくれたら、その命令系統を遡って全てを調べ上げたら、そこで税務調査を打ち切っても構わないと言っている。

(訳注:  レイトンはマイケルを守っていたFBI証人保護プログラムの担当捜査官ニコラス・T・フォレストにFBIサンノゼオフィスで会った。)

ニコラス・フォレストはこの捜査は彼の判断で打ち切ったので、IRSの調査を止めることはないと答えた。

ジョエイは再度言うが、早く諜報機関の名前を教えてくれたら、それで良いと言ってるんだ』

「どういうこと?」

「レイトンがFBIに手を回したようだ。それに10万ドルを請求してきた」

「なにそれ!マイケルのことを弁護士として守ってないじゃない。それに、なんで彼はいつも『証人保護プログラム』って言うの?」

「レイトンがFBIに行っただろ?何故彼が自分で行く必要がある?ジョエイが自分でFBIに行くと疑われるから、レイトンを使っている。そして、レイトンが被害者保護プログラムを証人保護プログラムと呼び換えてるのは、俺をジョエイに高く売る為だ」

マイケルはやれやれと椅子の背にもたれかかった。

被害者保護プログラムはレイプやストーカー、殺人予告等の被害者を守る為のプログラムで証人保護プログラムよりも下位に位置する。

証人保護プログラムで守られるのは、国際裁判や大手級マフィア等の大きな刑事裁判や国際裁判での重要証人であって意味が異なる。

被害者保護プログラムは個人の利益を守り、証人保護プログラムは国や国民全体の利益を守るから敵側に売る時の値段が違う。

レイトンは、ジョエイにマイケルを国際裁判の証人だと思わせて、情報の取引をしてなければ、弁護士がそんな書き間違いを何度も繰り返すはずがない。

「なんでレイトンなんか雇ったの!?」

「レイトンから電話がかかって来るまで、俺が何人の弁護士に相談したと思ってるんだ。赤字のR&Dセンターの弁護したって、金にならんから断られまくったよ」

「マイケル、いま、レイトンから電話があるまでって?」

「ああ、俺を断わった弁護士が俺との電話を切った瞬間にレイトンから電話がかかってきて『税務弁護の仕事くれ』って言われたらしい。それでレイトンが俺に紹介された」

「怪しくない!?」

深田は声を上げた。

レイトン弁護士がジョエイに情報を流しているとしたら、ニコラス・T・フォレスト捜査官の名前だけでなく、米大使館にいるFBI捜査官の名前も、彼に報告した警察官、公安警察、検察官、全ての名前が売られた可能性がある。

「これが訴訟社会アメリカの成れの果てさ」

弁護士が顧客の情報を売る。それが、ストリートスマートと呼ばれるということか。

番外戦 事件サマリー:【番外戦3】逆襲のジョエイ③



早朝のシリコンバレーオフィスにまた警察が来た。エンジニアによると、例の中国系警官だった。

警官は、2011年から12年にかけてマイケルが日本で詐欺を働いた国際犯罪団の人物だと刑事告訴されたことを仄めかし、また、IRS(合衆国内国歳入庁)の職員に対して脅迫を行なったので色々話を聞きたいと言ってきたのだ。

「2011年から12年?」

その頃、深田は体調が安定しておらず、取引と言えばアルファアイティシステムとしかなかった。それも、プログラムを預けたら持ち逃げされて、その後アルファアイティシステムから詐欺だと訴えられたことはあった。

それに、IRSから脅迫されたことはあっても脅迫したことはないししようもない。

そもそも歳入庁が、日本法人のうちに横ヤリを入れて来た頃の経緯を考えよう。

社民党福島みずほの夫の仲間である梶原利之弁護士に協力していた裁判官遠田真嗣について、裁判所にクレームを付けたのが3月。

中国が日本に対してミサイル発射したのが3月の終わり頃。

遠田真嗣裁判官が青森に左遷されたのが4月。そのミサイルにうちの技術が使われている可能性が無いか米国防関連の人間から問い合わせを受けたのがその後。

その直後にIRSのジョエイ・キャンベルは現れた。うちのエンジニアがジョエイにドアノブの無い部屋に何時間も軟禁されたのが4月末。
それで、弁護士を雇おうと言う話になったのだ。

そうしたら、たまたま税務専門弁護士から売り込みの電話が入った。それか、弁護士のジェラルド・レイトン。バーリナーコーヘンという大手の弁護士だ。

雇ってみるとレイトンはうちの弁護よりもジョエイの弁護に必死だった。

これではどうしようもないと思い、ジョエイについて調べ始めた。

ジョエイは馬英九のベンチャーキャピタルのファンドマネージャーだったことがネットで分かり、やっぱり台湾系のスパイである可能性が浮上した。

そのことをメールで知人に伝えると、そのサイトのページが消えてなくなった。あの時と同じだ。

さらに調べるとジョエイ・キャンベルはマイクホンダの協力を得ていることが分かった時にアメリカの保守議員達にメールを送った。

それが今年の6月4日だ。翌日、マイクホンダが政治資金の見返りに公的権力を使ったとしたかどで倫理局からの捜査が始まった。

ジョエイは6月20日にうちに対して破産宣告を行うと宣言していたが、マイクホンダの調査が始まって以来、彼女は静かになった。

その後、私はジョエイを不法行為で訴えた。

9月29日、最高裁から領事館を経由してIRSのオフィスに訴状が届けられたが、歳入庁の答えはジョエイはいないだった。

10月5日、静かになっていたジョエイがまたファックスを送ってきた。「ハンドラーの名前を20日までに言え」(さもなければ、破産宣告してやる)と書かれていた。ハンドラーはマスタースパイのことだ。私はアイドルだったことはあっても、スパイだったことはない。

FBI保護プログラムの担当捜査官の名前を伝えたが、彼女は満足しなかった。

私は困り果てた。

10月19日、アメリカの保守系議員にIRSが諜報活動をしている件で手紙を出した。ベトナム戦争時代にスパイ嫌疑で五年間拷問を受けたジョンマケインだ。彼ならこの恐怖を、きっと分かってくれる。

10月20日、ジョエイから連絡は無かった。

26日の朝、マケインからサンクスレターが届いた。内容は「手紙はIRSに転送したよ。ありがとう」だった。ニュースを見ると、IRSの長官コスキネンが弾劾裁判に掛けられることになったのだったが理由を知ってるジャーナリストは居なかった。

11月25日、アルファアイティ藤井との本人弁論で彼はうちのプログラムを自分のパソコンに入れて保管していると答えた。ソフトウェアの開発も認識していたが、その義務は果たさなかったことも明らかになった。そう、自体はこちらに有利になった。

翌朝、ジョエイから「関わった全ての諜報機関の名前を言え」と連絡があった。

27日、私は三菱東京UFJ銀行に裁判で勝った。その後、シリコンバレーのオフィスに警察が現れた。

マイクホンダは失脚したはずなのに、何故こんなにジョエイは権勢を振るってくるのかと調べると一つ分かった。

マイクホンダは11月23日に韓国系議員と組んで、日本の従軍慰安婦反対運動チームを結成していた。より資金を得て強くなっているのだ。

何故、うちのような数人しかいない会社を中共は必死に叩く?
自分達が気付いてない何かを私達は握っているのだろうか。

番外戦 事件サマリー:【番外戦2.】逆襲のジョエイ②

(このブログは去年11月28日、三菱東京UFJ銀行の訴訟に勝った翌日のものです)

葡萄の美酒、夜光の杯。

お気に入りの王翰の漢詩だ。
戦地に行く前にワインを楽しむ様子を謳っている。

昨夜は、お好み焼きと共に勝利の美酒に浸った。2年ぶりに清々しい気分で楽しくワインを楽しんだ。FBFにお祝いしてもらったのだ。

判決文を見て泣けた。
そして、800近いイイねをありがとうと思うと更に泣けてきた。

何年も不気味な嫌がらせに晒されてきて、精神的な限界を何度も味わされたけど、暗くて長いトンネルの出口が漸く見えたようだった。

目の前で戦っている相手と、本当の敵が異なる感覚。まず、一勝しただけでも一つ荷を降ろせた気がした。

二軒目はまた別のFBFにお祝いしてもらって、一層盛り上がった。安いワインでも、こんなに美味しいなんて!!気持ちって大事だと。

午前2時頃、うちのシリコンバレーのオフィスから連絡があって一瞬で酔いが醒めた。

「さっき警察が来て、マイケルにIRSからの召喚状を届けるから帰国日を教えて欲しいって言われたの」

エンジニアの声は震えてた。

「召喚状は渡されたの?」

「いいえ、置いていかなかった」

「その警察官、白人だった?」

「いいえ、中国系」

中国系のIRS(合衆国内国歳入庁)職員ジョエイ・キャンベルが寄越した中国系警察官。母親が中国人の藤井一良、そして、藤井一良しか持ってないはずの資料を持つジョエイ。

一昨日の私と藤井の本人弁論は、藤井の矛盾が目立ったと傍聴者に言われた。

そして、昨日の深夜、ジョエイから刑事告訴すると脅された。

昨日の午後、裁判でUFJ銀行に勝った。藤井かりマイケル名義の差し押さえで、銀行は私の口座を差し押さえた。そして、裁判所はそれを許さなかった。

そして、今、ジョエイから派遣された警察官がマイケルを探し回ってる。

何故、私が日本で藤井一良に勝つと、二度連続して米国でジョエイが報復に来るんだ?

「萌絵ちゃん?」
FBFから声を掛けられたけど、その後、楽しい話題は何一つ思い浮かばなかった。

自分は一体、何と戦っているんだろう。
ちっぽけな自分がこの戦いでいつまで生き残れるんだろう。

そうだ、この王翰の詩の結びはこうだった。

番外戦 事件サマリー:【番外戦1追記】ジョエイ(国税局局員)が逆襲に来た理由



これまで中国スパイサマリーを書いてきて、過去の事は一回戦、二回戦と表記していた。
しかし、あまりにもリアルタイム攻撃も多いので、リアルタイムのを番外戦として表記して過去と現在をパラレルで書いてしまう結果となった。
過去の事件はあれで1年半前くらいまでしかカバー出来てない。頑張って書きます。

今朝、弁護士レイトンから、ジョエイが私をカリフォルニアのIRS(米国国税局)の裁判所に呼び出し、FBIを使って逮捕させてやるということを仄めかすメールが来た。こちらはFBI保護プログラムがあるのだが、それよりもっと上と話を付けたから保護プログラムは無駄だと言われたのだ。

何故、一介の税務調査官のジョエイキャンベルにそんな力があるのだろうか。例えば、京橋税務署の佐藤さんが警察に圧力をかけて、マルタイ(保護対象者)の許可を帳消しにするようなものだ。


ジョエイはマイクホンダの後ろ盾を得ていたが、マイクホンダは政治献金問題明らかになって倫理局送りになったはずだ。
もしかしたら、また新たなるジョエイの後ろ盾が出てきたのかもしれない。
カリフォルニアで抗日史実維護委員会から献金貰っている政治家がまだいるのだろうか。抗日史実維護委員会といえば、社民党福島みずほ先生が慰安婦をNHKに連れてきたときの慰安婦の派遣元だ。

とにかく、FBI被害者保護プログラムで守られているはずなので米国では安全だった我々は盾を失った。(かもしれない。政権が変われば、また変わるだろう)

米国内も日本と同じで極左勢力が強く、マイクホンダやIRS(合衆国内国歳入庁)の長官を政敵だと見ている保守勢力もいる。なぜならIRSは選挙の時に職権を濫用して保守政党に厭がらせをしてきた歴史があるからだ。

http://newsphere.jp/world-report/20130517-4/
IRSを監督する機関も存在するが、左寄りの議員がIRSの職権濫用の事実を握りつぶしてきた事が発覚している。我々ももちろん何度も報告したが、保守政党同様に毎回握り潰されてきた。
http://m.jp.wsj.com/articles/SB10001424127887324582304578490414243635292

問題は、現在米国で極左が強いうえにIRSがFBIと癒着しているということだ。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マルタイ

今日まで弁護士にかかった費用は2000万円を超えた。

アルファアイティシステムの藤井一良との取引で、深田の人生は激変してしまったのだ。

一難去ってまた一難。
今日も何とか頑張ります。

番外戦 事件サマリー:【番外戦】1. 逆襲のジョエイ



IRS(合衆国内国歳入庁)を取り扱う弁護士ジェロルド・レイトンから連絡があった。

「ジョエイキャンベルとディレクターのニック・コナーズは、君たちが関わったFBIの捜査官、他に君たちに関わった諜報機関の人間全ての名前を教えてくれたらその命令系統を辿る。

君のメッセージをIRSに送った。
『ジョエイキャンベルは私が開発したミサイルに転用可能なデュアルユース技術を盗む幇助を行い、ミサイルで横須賀にある濃縮核燃料施設を破壊しようとしているテロ活動を共産党の命令で行っているため、深田は東京地方裁判所でジョエイを相手に訴訟した。ところがIRSのビルではジョエイキャンベルはいないと言われたそうだ。いない人間からの調査に何故私たちが応じなければならないのか』

これをIRSディレクターのニコラスコナーズは脅迫だと感じたようだ。君たちが大量殺人を仄めかすとは。(この弁護士はわざと文脈を逆にしている。)

とにかく、諜報機関のエージェントの名前を言わないなら、IRSの裁判所から召喚状を出したうえでお前たち(深田も含む)を裁く」

というメッセージだ。

IRSは税務調査を装いながら、マイケルが以前に国防省向けに作ったデュアルユース技術情報を開示させようと躍起になっていた。

そして、IRSのジョエイキャンベルは本人しか謄写できないはずのアルファアイティとの訴訟記録で、マイケルの名前で深田の口座を差し押さえたことを隠し口座の発見と主張している。

やはり、ジョエイと藤井一良、梶原利之、福島みずほ、マイクホンダは関係があるのか。
そもそも日本人で日本法人を経営する私が何故IRSにここまでされるのか理解できない。

そして、深田は諜報機関に所属してる訳でもないので諜報機関の人間の名前を言えと言われても困る。

(中国のキャバクラで中国国安(諜報機関)の女性にあっち行ってと言ったら、「早大卒の低学歴女め、私は共産党エリートの国安で米国MBAホルダーだ!ボゲ!!」と言われて、喧嘩になったことはある)

覚えのある諜報機関の人間といえば、それくらいだ。

実は今年の3月に日本に向かって中国からミサイルが発射され、米国の衛星によるとそのミサイルの軌跡が残っているのが発見された。

横須賀には原発は無いと私は主張したのだが、調べてみるとミサイルの軌跡の先にあるのがニュークリアフエルジャパンの濃縮核燃料施設だったのだ。

そういえば、習近平が横須賀の核燃料施設が危ないとこないだニュースで発表していたような気がする。

警察にも散々断られてしまったので、もはや誰に相談していいのか分からない。

深田の運命やいかに、いや、もはや国民の命はいかに。

(2015/11/26の話)

2015年12月31日木曜日

事件サマリー:第33回戦 年賀状



エリが消えて数カ月。
ゼロから再出発した会社は支持者たちに支えられて幸運にも持ち直し、展示会にも出店できるようになった。

念願の展示会出展は四年目にして叶った。

パシフィコ横浜にある展示会で小さなブースを構え、深田は新製品宣伝のビラ配りをしていた。
「え、これ、本当に無線なの?」

「はい!良かったらシステムをご覧ください」
最新の低遅延型動画伝送システムに対する引き合いは多かった。
高画質、高速伝送、安定出力、どれをとっても世界最高だ。
それを自分のようなお姉ちゃんが売っているとあって、業界でも話題になっていた。

『もっと早く展示会に出展できていたら・・・』
マイケルの技術に惚れ込んでいたのは、むしろエリだ。
エリはこの技術を広めたいと言って、展示会に出ては『自分達もいつかは』と言っていた。
今、ここに二人で一緒に立っていたら、エリは喜んで集客しただろう。

マイケルはエリの話をしなくなった。
自称メンタリストの深田の母が東京のオフィスに来たとき、
「未練がましい女、発揮やな。エリちゃんなんかに対して」
と言ったのをマイケルは覚えているのだ。

マイケルは深田に気遣って『エリ』と名の付くものを全てに違う名前に与えた。

弁護士のエリザベスを『おばさん』、キノコのエリンギを『長マッシュ』、取引先の別のエリを『モモちゃん』と勝手に名前を付けて呼ぶ始末になった。

『おばさん』と呼ばれたエリは怒り、『モモちゃん』と名付けられたエリは喜んでいる。

頭が良い奴は気遣いもひねくれているので、こちらの対応も面倒臭い。

「これ、すごいですね」

声を掛けられて現実に戻る。
スーツの男性が興味深そうに新製品を見ている。
「これ、全てチップ処理なので早いんです」
動画の処理は通常重たい。それを完全チップ処理にしているので高速化が図れるのだ。

「実は自動車メーカーがうちのお客さんなんですけど、受託の仕事とかやっていますか?できたらお願いしたいことがあって」
そう言って、彼はソフトウェア会社ソフト社(仮名)の吉田氏(仮名)が名刺を出した。

「是非、お願いします!」
ようし、顧客ゲットだ!

後日、ソフト会社の吉田氏がオフィスにやって来た。
カメラもディスプレイも基板も、デモ機は万全の態勢だ。スイッチオンするだけで、いつでもオッケー。

「人工知能の開発できますか」

「え?」
人工知能?そんなの製品リストにもなければ展示もしていない。
「車の自動制御に人工知能が欲しいんです」
深田はマイケルを振り返った。
人工知能開発なんて、うちの業務外だ。

「人工知能なら既にコアはあります」
深田は目が点になった。四年間一緒にやってて、人工知能が開発できるなんて初耳だったからだ。

「うちのエンジニアはミシガン大学で人工知能の研究をやっていました。Googleの検索エンジンを開発したCTOより、彼女のほうが成績は良かったんですよ。それに、元々巡航ミサイルの為に人工知能を開発したこともあるので、車なら相性がいいかもしれない」
マイケルは淡々と続けた。
しかし、どこまで行っても引き出しの多い奴だ。

「すみません、ただ、今期は開発費が少なくて1000万円くらいしかないんです」
通常、人工知能の開発は十億単位なので、桁が2つ足りない。
深田は、「ハァ?」と言いそうになったがマイケルは「いいよ」とアッサリ答えた。

「1000万円で?」

「1000万円でもいい。ただし、簡易版だけだ」
マイケルは応えた。

「そうですか!是非お願いします!」
ソフト社は喜び勇んでスキップして帰っていった。

「マイケル、どうするの?」

「なんだ?」

「人工知能」

「作れるぞ」

「作れるのは分かる!でも、エンジニアも足りないし、コーディングの人員どうするのよ!1000万円なんて安値で引き受けたら、外注費であっという間に赤字よ」
深田はキレた。ありものを売れば、コストを抑えられるけど一から開発となると金ばっかりかかって仕方がない。
今は、確実に黒字のプロジェクトしか取りたくないのだ。

「大丈夫だ。権利は渡さないし、ライセンス料も毎年貰う。プログラマーだけ確保すれば、何とかなる」

「そのプログラマーの調達で世界中が人材難なのよ!」
SNSの台頭で、殆どのプログラマーはFacebookやオシャレなシリコンバレーの会社に年収20万ドル以上で流れてしまっている。

「俺には案がある」
そう言ってマイケルは笑った。

次にソフト社に打ち合わせた時も感触は良かった。
「もう発注準備はしています。ただ、車メーカーさんの要望で納品は来年の2月20日でお願いしたいんです」

「2月20日!?」
いま既に、クリスマス前だ。2ヵ月で仕様固めからコーディングなんて無理過ぎる。

絶対に無理と深田が言いそうになったところ、「大丈夫」とマイケルは事もなげに答えた。
これまでのパターンで行くと、常人が不可能だと考える開発もマイケルが「大丈夫」と言った時は実現してきた。実績はあるけど、プログラマーが足りていないので不安で仕方がない。

「すみません、それより発注間に合うんですか?」
深田は事務処理の心配をした。
マイケルのことなので、やると言ったら裏の手を使うのだろうけど、問題は日本企業の体質だ。契約書やら信用チェックまで何カ月かかるか分からない。

「そこなんですよ、発注書が出るのが今だと早くて年末とか、下手したら1月過ぎるんですよね。それでも、やってもらえませんか?」

「ダメで・・」
「いいよ」
マイケルがアッサリ答えた。
「ギリギリでも発注書が来れば納品するよ」
そう続けた。
それを聞いてソフト社はまたルンルンになって帰っていった。

深田は頭を抱えた。発注書が来る前に仕事始めたらトラブルの元だ。
「マイケル、おかしいよ。これまで詐欺を働こうとしてきた会社と同じで発注書なしで仕事させようとしているんじゃない?」

「俺、人工知能の方が好きなんだよね」
マイケルの答えに、深田はお茶を吹き出した。
作り上げた世界最高の新製品にはもはや興味が無いようだ。

マイケルは天才過ぎてマイブームの移り変わりが激しい。
好きなものを作るだけで、あらゆる人が金を積んできたので自分が作りたい物以外に興味が無いのだ。

「ところでマイケル。人工知能なんて、いつの間に作ったの?」

「米軍の仕事している時だ。うちの製品には全て人工知能が入っている」

「ハア?」
知らなかった。

「お前、バカか?ソフトウェアをチップにしただけで処理が速くなるなんて伝説だ。俺はチップに人工知能を埋め込んで無駄な処理はさせていない。だから早いんだ」

「そういう事だったの?何それ、企業秘密?」

「当たり前すぎてお前に説明するのを忘れていた」

「言ってくれてたら、会社のホームページで大々的に宣伝したのに!このバカ!!」
マイケルは頭が良すぎて、たまに抜けているのだ。
人工知能なんて受託開発だけで数十億は取れるのだ。
そんなことを知らなかったなんて、と、深田は地団太を踏んだ。

「おい、待て。会社のウェブサイトに人工知能の事を載せてなかったのか?」

「載せるわけないでしょ。社長の私が知らないんだから」

「じゃあ、なんで彼らは来たんだ?」
マイケルの言葉でハッとなった。

言われてみればそうだ。
人工知能開発は、ウェブサイト開発とはエンジニアの知能レベルが1万倍違う。
人工知能開発に人間知能が必要だと言われている分野だ。
通常は実績のある会社にしか発注しない。

振り返るとマイケルは頷いていた。
「発注書が来るまでまとう。これも中国共産党の罠かもしれないからな」

「エリかも」

「エリは、俺が人工知能開発していたことを知らない。中共だけだ」
マイケルは応えた。

その日から、深田はソフト社からの発注を待った。
メールで催促し、電話で催促もした。
返事はいつも「お願いする為に発注準備をしていますので、先にプログラミングを始めておいてください」だった。

年の暮れになっても発注書は来ず、聞けば「今用意しているから、開発だけ始めておいてくれ」とだけ言われて、仕方なく12月31日に深田は実家へと帰った。

実家のダックスフントの太郎を抱っこして、年始は布団の上でゴロゴロしていた。
太郎は大人しいM男だ。
どんなに意地悪しても怒らない。

太郎の耳を引っ張って遊んでいると、
「また、エリちゃんか」
と母さんがポストを開けながら呟いた。

「え、何、母さん」
エリがどうしたのかと思って起き上がった。

「いや、あんたの旧会社の郵便物をこっちに転送してるけど、エリちゃん宛ての郵便がけっこう来るねんな」
年賀状をチェックすると数枚ほどエリの年賀状が混ざっている。

「あれ?」
ソフト社の吉田さんがエリ宛に年賀状を書いている。『今年も宜しくお願い申し上げます』ってどういうこと?

吉田さん、エリが失踪した数カ月後に知り合った人だぞ。

「なんだ、そういうことか」
深田は笑いがこみ上げてきた。
私を潰すためには、そこまでやるのか。

マイケルにそのことをメールで報告すると返信が来た。

「プレイヤーはエリだが糸を引いているのは間違いなく共産党だ。エリは人工知能の事を知らない。それに、上場しているソフト社がエリ個人の為には動かない。裏で巨額の金が動いている」

彼女は、消えたかのように見えて影のように付きまとうようになった。
私の周囲に現れる全ての人間を利用するのだろうか。

「母さん、私、また友達できるかな?」

「あんた、その前に結婚しーや!」
(´・ω`・)エッ?

TO BE CONTINUED

事件サマリー:第32回戦追記 男はマイケルに夢中



「ハッピークリスマス」
シリコンバレーにいるマイケルから電話があった。

「私はアンハッピーだけどね。マイケルは誰かと過ごすの?」
と深田は応える。

「俺に家族はいない」

「女はいないの?」

「お前な、髪も薄い、太った50代の俺に金が無ければ女が付いてくるはずないだろう」
マイケルは冷静に答えた。

「かしこっ。マイケル、さすがIQ200だね」
深田は心の底から感心した。

「冷静になれば、全てのイケてない男が理解できることだ。知能指数が低くても分かるはずだ」
マイケルは淡々と答えた。自己中心的な男だが、客観性は保っているらしい。

マイケルと会社を始めてから色んな男が寄ってくる。
ところが、最初は私を好き好き言っても、気が付けば男たちはマイケルに夢中だ。
もちろん、男たちはマイケルが好きなんじゃない。
マイケルの技術さえ盗めば金持ちになれるから無我夢中になるのだ。

彼の技術の前には愛もかすむ。

いや、金の前か。

それでは、男が女を愛せるようになるためには、いくら掴めば気が済むのだろうか。

事件サマリー:第32回戦追記 男はマイケルに夢中


「ハッピークリスマス」
シリコンバレーにいるマイケルから電話があった。

「私はアンハッピーだけどね。マイケルは誰かと過ごすの?」
と深田は応える。

「俺に家族はいない」

「女はいないの?」

「お前な、髪も薄い、太った50代の俺に金が無ければ女が付いてくるはずないだろう」
マイケルは冷静に答えた。

「かしこっ。マイケル、さすがIQ200だね」
深田は心の底から感心した。

「冷静になれば、全てのイケてない男が理解できることだ。知能指数が低くても分かるはずだ」
マイケルは淡々と答えた。自己中心的な男だが、客観性は保っているらしい。

マイケルと会社を始めてから色んな男が寄ってくる。
ところが、最初は私を好き好き言っても、気が付けば男たちはマイケルに夢中だ。
もちろん、男たちはマイケルが好きなんじゃない。
マイケルの技術さえ盗めば金持ちになれるから無我夢中になるのだ。

彼の技術の前には愛もかすむ。

いや、金の前か。

それでは、男が女を愛せるようになるためには、いくら掴めば気が済むのだろうか。

事件サマリー:第32回戦 ダイヤモンドの大きさは愛の大きさ


持っているブランド物の多くを売り、会社を建て直した。
自宅の棚には、残されたティファニーの水色の箱が見える。
元彼から貰った1カラットのダイヤモンドはなんとなく売りそびれたのだ。
「ま、もう二度と会うこと無いんだけどね」
ずずず、と、熱い紅茶をすすった。
元彼は自分に本気ではないと思っていたあるクリスマスの日に、「なんか、欲しいものある?」と聞かれて「別に」と答えた。本当に欲しい物は特に無かった。
彼は、「別にって何だよ」と言った後、黙ってティファニーに入って、このダイヤモンドを買ったのだ。
あまりの値段に驚いた。
「俺がお前に本気だったってこと、分かった?」
驚きのあまり声も出なかった。
彼の愛の深さに自分は気が付いて無かったと反省した。
そして、ラブラブ彼の部屋に入るとハリーウィンストンで100万円のダイヤモンドを買った前日付のカード明細が机の上に無造作に置いてあった。
「あんたさ、毎日違う女にダイヤモンド買って、何が面白いワケ?」
深田は彼を白い眼で見た。
「ちょっと待て!お前のダイヤモンドの方がずーっと高かったの、値段見ただろ!?そのダイヤモンドの大きさを見ろ、俺の愛の大きさだ!」
彼はそう言って、深田の肩をポンと叩き、それから程なくして、どうしようも無い二人は破局した。
「別に未練は無いんだけどね」
自分を一瞬でも好きだと言ってくれた人が無理して買ってくれた物を粗末にするのは気が引ける。
ルルルと音がなって携帯を見ると、その彼からメールが入っていた。
『よお、元気?仕事頼みたいんだけど、飯でもどお?』
なんだ?何年も連絡してないのに調子のいいヤツめ。ただ、仕事は欲しいので、何の仕事かは気になる。
『何の仕事?』
『メールでは説明しにくいから、今夜焼き鳥屋にでも来いよ』
相変わらずの上から目線。
ちょっと待て、深田。別れた男に安く見られてはならない。
『別れた男と焼き鳥行く女無いでしょ』
断った。
『ミクニでどう?』
彼は深田のお気に入りのレストランを提案した。
『飽きました』
これは断り文句のつもりだった。
『お前、イヤなヤツだね~。それでは、ミシュラン二つ星フレンチ取りました。7時でお願いします』
その店は前から行きたいと思っていた予約の取れない有名店だ。
『分かった。じゃあ、現地で』
仕方ない。偵察に行くしかない。
電話を切った後、深田は古びた下着に着替えた。
恋愛作家森瑶子の格言に『別れた男とヨリを戻したくない時は一番汚い下着を着ること』とあったからだ。その本は小学生の時に読んだ。
タクシーに乗り、『別れた男の前ではイヤな女を演じるのだ』と深田はブツブツ唱えた。
「で、なに?仕事の話って?」
本日のアミューズ、フォアグラペーストのシュー仕立てを頬張りながら、深田は質問した。
「俺の会社、上場させる事にしたんだよね」
「あんたみたいなアナログの会社、人件費ばっかり嵩んでレバレッジ聞かないから、バリュエーション(高い株価)付かないから無駄よ」
深田は栗のポタージュを啜りながら答える。
株価の評価は、自分の本業だ。
「その通りなんだよ。だからさ、お前の会社を買収したいんだ。人からお前の副社長が失踪して、お前が困ってるって聞いたし、資本が入ればお互いウィンウィンだろ?」
彼はワイングラスを掲げてウインクした。
確かに深田の会社は最先端技術開発会社なので、小規模でもバリュエーションは異常に高い。
「会社、解散しちゃったんだよね」
深田はわざと新会社を立ち上げた話は避けた。
上場前の会社は子会社の買収をしたら上場時期が遅れるというマイナーなルールがある。彼の話、何か裏がありそうだ。
「ええ!!!マジで!!?もったいない~~」
彼はガクーとなった。
「うん、ちょっと前よ。ざーんねん」
深田は好物のトリュフがかかった鴨肉にポテトペーストをかき集めて頬張る。流石に最高の味わいだ。
「じゃあ、俺が子会社作るから、お前が社長になれよ」
「イヤよ」
「なんで、イヤなんだよ」
「朝五時に起きて七時には会社に来る親会社の社長がいる会社でこき使われたくないもん」
深田は同僚からワーカホリックと呼ばれて敬遠されていた。よりワーカホリックなマイケルも異常に勤勉勤労だが、こいつも異常に仕事が好きだ。そんなのに付き合わされたら身体が持たない。
「お前って、本当に性格悪いよね~」
「不誠実な男にはね」
「俺はね、誠実さには欠けるけど、すごくいいオトコなんだよ」
「その実力はよく知ってる」
深田はデザートを食べ終えて、ハーブティーを飲んだ。彼狙いの女に掴み掛かられたり、イチャモン付けらたり、本当に散々だった。
「よし、じゃあこうしよう。お前の給料月100万円、勤務時間はお前に任せるがホールディングスの役員会議には必ず出席してくれ!」
「考えるよ」
本当は考える気も無かった。
人の下で働くのはしょうに合わない。
「絶対考えろよ」
彼はそう言うと気分が良くなったのか、キッチンに向かって歩き始めシェフとお喋りを始めた。自分もフレンチレストランを始めるから俺のところに来いよと英語で話している。
その時、白いクロスがかかったテーブルの上に置かれた彼のスマホが振動した。『電話鳴ってるよ』と知らせようと思うと、彼の携帯にエリの友達の名前が表示された。
「なるほど、そういう事か」
自分では直接手出しできないから、野心家の元彼にアプローチしたんだな。彼なら金で動くタイプだ。さすがエリちゃん、天晴れな策略家だが、そういう事をやると女性には確実に嫌われるぞ。
というか、乗る方も乗る方だ。
「さ、行くか」
深田の肩に、彼がポンと乗せた手を深田は振り払った。
「ご馳走さま!じゃあね」
そう言って深田はタクシーに飛び乗った。
私の心を傷付けるのは構わないが、私の会社に傷を付けるのは許さない。会社は株主の物だからだ。
次の日、深田はダイヤを持ってブランド買取店に行った。
「これ、すごいですね。本当に良いんですか?」
鑑定士がルーペでダイヤを値踏みしなかまら深田に聞いた。
「いいのよ。真実の愛はプライスレスだから」
愛は形がない。
愛は無から産まれて無に帰る。
何も残らなくて正解。
黒いスーツの男はチラリと深田を見て、深田は思わずまつ毛を伏せた。
残念なだけ。
マイケルが言ってた。
数々のハニートラップを仕掛けられても婚約者だけを大事にした果てに、中国スパイに協力した青幇に婚約者をナイフで傷付けられた。
「俺は誰とも関係を持ちたくない」
マイケルの孤独。
それって、このことか。
TO BE CONTINUED

2015年12月29日火曜日

事件サマリー:三菱東京UFJ銀行新宿中央支店長による預金横領事件

ヤフーニュースで書いたコラムが三菱東京UFJ銀行からの圧力で消されました。
記事のコピーをここに残します。

===
主要銀行にシャープは嵌められた!!

市場最大のインサイダー取引

昨日、台北にいる金融業界の台湾人から連絡があった。

台湾銀行薫事長の李紀珠氏が三菱東京UFJ銀行頭取平野信行氏と特別融資に関する覚書を結んだのは、鴻海が身銭を切らずしてシャープ買収を行なう為の布石だという話だ。

信用枠のスワップと言うのは、台湾国内では国民党のバックアップを得ている鴻海はいくらでも借り入れができるが、日本では融資を得られない。2年前のシャープ買収を声高に叫んだテリーゴウ氏は、裏側で悉く日本の銀行に融資を断られた為に、シャープ買収を断念した経緯があった。それを救うのがこの三菱東京UFJ銀行と台湾銀行の覚え書きだが、鴻海はそんなに金が無いのか。

ウォールストリートジャーナルを見ると、鴻海のようなキャッシュ垂れ流し企業にシャープを買う資金力は無いと報じられている。欧米メディアは冷ややかに見ている鴻海のシャープに日本人が翻弄されてはならない。

また、昨年11月に鴻海の主力顧客であるアップルのiPhone6sの生産量が予想よりも10%削減されたと報じられている。これは、薄利多売の鴻海のビジネスモデルに大打撃を与えたはずで、資金はとてもではないがシャープには回るはずもない。

それを可能にしたのが、シャープの主要銀行と台湾銀行薫事長李紀珠の取引だ。

台湾銀行薫事長李紀珠と言えば国民党所属の元台湾立法院委員で、鴻海社長テリーゴウ氏の友達だ。反日馬英九台湾総統のお気に入りの反日仲間だ。

さすがにシャープ主要銀行の一行だけが台湾銀行薫事長李紀珠と覚書を結んでいたら、単なる偶然だと言えるかもしれない。ところが、李紀珠は昨年10月にみずほ銀行頭取林信秀とも協調融資の覚書にサインをしているのだ。

さて、三菱東京UFJ銀行平野頭取のシャープに対するコメントは、「シャープは私が退任するまでに決着を付ける」だ。決着を付けるというのはどういうことか。その某台湾人によると、みずほと組んだ5100億円のシンジケートローン返済延期を断って、シャープを窮地に追いやり、鴻海に信用供与してシャープを買収させてあげるという決着だ。

可能性の一つとしては、返せるわけもない5100億円ローンの期日返済を迫り、シャープを民事再生法申請まで追いこむことだ。そうすれば、民事再生法の下でシャープは再生のスポンサーを付けなければならない。その時に、鴻海が手を上げて三菱とみずほから融資を受けて、DIP型再生に臨めば今までの株式を全て原資して既存株主を抹殺し、主要二行は5100億円の債権を放棄し、鴻海は身銭を切らずして借金の無くなったシャープの100%株主になれるというシナリオだ。

そう、時価総額2000億円のシャープをゼロ円で手に入れ、5000億円の借金棒引きにしただけで、鴻海は合計7000億円儲かってしまいます。これって、立派なインサイダー取引ですよね。

なにか、聞いたことありませんか?このストーリー。
はい、エルピーダと同じです。
エルピーダの偽装倒産劇も、馬総統率いる台湾秘密結社青幇が行ったのです。

実はシャープを救うのは簡単で、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が「融資の返済を待つ」と一言いえばそれで済むのです。それは、日本政府もこの二行に要請していることですが、それを断ってでもこの二行はシャープを鴻海にプレゼントしたいんです。

私たち個人投資家がシャープを救えるとすれば、証券取引等監視委員会に電話をして、この馬鹿げたディールを辞めさせることでしょう。

台湾企業の為に債権を放棄するなら、三菱東京UFJ銀行とみずほは、本日、日本と言う国の為にシャープの債権を放棄すればいいのです。

日本の証券取引等監視委員会は何をやっているかというと、『木を見て森を見ず』体質で個人投資家の小銭ばかり追いかけているので、この史上最大のインサイダー取引を取締りもせずに放置しているという次第なのだ。






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同行が横領した私の金の損害賠償請求に勝訴

平成27年11月27日、三菱東京UFJ銀行に対して私が起こした損害賠償請求事件で、深田萌絵は弁護士無しの丸腰で超高給弁護士に勝訴した。

判決は、私の銀行口座から引き出した金を全額支払いなさいという、至極当然の判決文だった。高給弁護士と素手で戦って勝てた理由は、私が賢いからではなく、私三菱東京UFJ銀行から受けた被害があまりにも理不尽だからだ。

ところが、訴訟経済上考えられないことだが、三菱東京UFJ銀行は高裁へ控訴した。
理由は、深田萌絵の訴訟に敗訴したとなると、横領が確定する為だ。

横領が確定すると、支店長をクビにするだけではなく、銀行も金融庁から処分を食らうので泡を食って、裁判所に「深田萌絵の金を全額返せ」と言われたのに「嫌だ」と答えたのだ。

高裁での裁判に負けて、横領が確定すると金融庁からの処分を受ける可能性が高いので、私の裁判の高裁判決が出たあたりで「売り」だ。

事件の経緯

平成25年11月1日、三菱東京UFJ銀行新宿中央支店長により、同行に預けた私の銀行口座から無断で資金が全額引き出された。その日、私は口座に840万円ほど振り込まれる予定だった。

銀行にあるはずの金が無いので私は慌て、社員に銀行に問い合わせさせたところ「深田萌絵の口座は差し押さえられました。裁判所命令は一週間後に裁判所から届く」との回答だった。

ところが、待てど暮らせど裁判所の判決文は来ない。
弁護士を雇ったがあまり役に立たずに異議申立も却下された。

そのうち、忙殺されて、判決文のことも忘れていた。
今年の春ごろから、役に立たない弁護士をクビにして全ての訴訟を自分で行なうことにした。リサーチハウスに勤めていたので、自分で調査すれば十分勝てると踏んだからだ。

記録のコピーを徹底的に調べた。
まず、この仮差押え事件、私に判決文が届いていない理由が分かった。
なんと、仮差押えは外国人男性の銀行口座が対象となっていたのだ。
じゃあ、どうして私の銀行口座から金を抜いたのか。
新宿中央支店長田中靖士の陳述書を調べると「当事者目録上の債務者の表示と投稿宛て届出の預金者表示に不一致な点があり、両者の同一性が確認できれば支払う」と陳述されていたのだ。

銀行ぐるみの犯罪の可能性

同行の犯罪1.
口座名義の同一性が確認できなければ、「該当者なし」と回答しなければならないのだが、「同一性が確認できない」としながら私の銀行口座から無断で資金を引き出すという暴挙に出たのだ。夫の銀行口座の金を妻が引き出したいと言って引き出せるだろうか。無理だ。疑うなら、手ぶらで銀行に行って「妻の銀行口座のお金をください」と言ってみましょう。断られます。妻が夫の銀行口座からお金無断で引き出しても「不正引き出し」として詐欺が成立してしまう。

同行の犯罪2.
仮差押えは資金を引き出してはならない。資金を引き出すのは、裁判所からの強制執行命令が必要である。彼らが名義違いの銀行口座から資金を引き出す法的根拠が全くない。よって、これは横領だった。

同行の犯罪3.
無断で引き出した資金の勘定科目が虚偽である。
銀行は各支店毎日一円単位で集計が合うまで計算し続けなければならない。私の資金を引き出したら、絶対に計算が合わないのだ。額は小さいが勘定科目の虚偽表示を行なって、監査法人を騙した。所謂詐欺だ。そして、監査法人の監督不行き届きにより、当行は名義が一致しなくても無断で支店長クラスの行員が預金者の口座の金を好き放題できるという銀行としての継続性の嫌疑に係る事実を見逃したということになる。


人違いだと分かった時点で、三菱東京UFJ銀行に対して預金の返還を求めたが、新宿中央支店の夷子氏にそれを断られた。私にすれば、泥棒にお金を返してと頼んで断られたようなものだ。

三菱東京UFJ銀行、更なる不正疑惑

さて、外国人名義宛仮差押判決による深田口座横領事件の実行犯である田中靖士だが、彼が新宿中央支店にやってきた経緯も不明なのだ。

彼は前日まで支店長では無かった。
私の口座から横領をしたその日に新宿中央支店に支店長として赴任したのだ。
リテール副部長から支店長へのご栄転のその日に犯罪をしたがるエリートがいるだろうか。
部長でもない彼が副支店長をすっとばして支店長?御冗談。

彼の横領事件の発端は、恐らく、訴訟になった場合、蜥蜴の尻尾切りで彼だけが罪に問われて終わるという取引の下でいきなり片田舎から都会のど真ん中への昇進を行なった可能性がある。
そうでなければ、銀行は副部長からいきなり支店長になるはずがないのだ。
彼が私の金を横領するというしょうもない罪の裏には、ある政治家が関わった米軍軍事技術横流しの裏取引があった。本筋から外れるので割愛する。

「半沢直樹」を見ましたか?
ドロドロの銀行内部闘争。
ハンパな罪を犯すだけでは出世できないのが銀行なのです。
私の元主人も銀行員でしたが、上司から不正をするように強要されて断ったら地下金庫の金庫番にさせられたという実績がある。

私も金融機関勤め時代に、上司から危険な金融商品を顧客に押し付けるように迫られましたが、断ったので年末実家に帰らせてもらえないという嫌がらせをされました。

まともなことをやれば、出世はおろか生き残れないのが金融機関です。
金融機関で出世するというのは、それくらい大変なことなのです。

金融機関は不正を徹底的に隠ぺいする。
私も以前は金融機関勤めをしていたが、金融庁の検査時には部長が徹底的に書類の偽造と不正の証拠の隠ぺいを行なっていた。(彼らは、ちょっと危ない橋を渡っていた。私は悪い事をしてなかったのでその必要は無かった)

これは、銀行勘定科目の虚偽表示に該当するので、処罰の対象は実行犯の田中靖士支店長のみに収まらず、監査法人にまで及ぶことは間違いない。

銀行の価値とは何か

私はこのコラムを書く理由がある。
私のようにメディアに出ている人間ですらこの仕打ちなので、声も上げられずに抹殺された被害者はもっといるのでは無いだろうかと考えている。

銀行に預けた金を返してほしい。
それのなにがいけないのか。

銀行の不正を許すかどうか。
それは、あなた次第だ。

気になる株価ですが、株の価値は企業の価値から派生したものです。
銀行の価値は、信用です。
信用して自分のお金を預けられるのは、「同一性」が確認できないかぎり自分の銀行口座は安全だという前提です。
預金銀行としての前提条件が崩れているので、銀行としての価値がありません。
名義不一致で無断引き出しという事実は隠ぺいできないので、金融庁からの処分等にも近い将来遭い、株価はそれを織り込むでしょう。

高裁の判決スケジュールについては、ブログでどうぞ。

2015年12月25日金曜日

事件サマリー:第29回戦 内閣情報調査室


「深田社長、これ、御社の社印じゃないですよ」
信用金庫の営業が深田に印鑑を突き返した。

「ええ?」
エリの親友が「エリに頼まれました」と言って持って来たうちの社印のはずだった。
「そんなはずは・・・」
「社印の陰影が違うでしょ」
言われてみると確かに陰影が違う。

エリに電話をしても繋がらない。LINEもFacebookも無いので連絡しようも無い。
エリの母親を名乗る女性に電話すると、
「それは貴女の気のせいです」
と言っただけで電話は切られた。

「しょうがない・・・」
深田はエリを数年前に紹介してきた会社の社長に電話をした。

トゥルルル、トゥルルル、

コールは鳴るが繋がらない。

共通の知人にメールで『エリを紹介してくれた社長と最近連絡取ってる?」と聞くと、『萌絵ちゃん、知らないの?彼、失踪したってニュースで出てたわよ』とURLが送られてきた。

クリックすると、確かにエリを紹介した社長が失踪したというニュースが出ていた。
「そんなバカな・・・」
失踪したのがエリだけじゃなくて、紹介してきた人間まで失踪しているなんて、そんなことあり得るだろうか。

胸騒ぎがして、ネット上で『小林英里』と検索してみた。エリは学生起業家として有名だったので、色んなサイトで紹介されてきた。

「ない、ない・・・」

エリの情報が全て綺麗にネット上から消えていた。あんなにたくさんあったエリの写真も消えて、彼女と全く関係の無い写真しか検索で上がらなくなってきた。

スパイシーにエリの昔の会社『有限会社壱歩社長、小林英里』が掲載されているが、それすら全くの別人の写真だ。


「なんでそんなことができる?」
このネット社会で、ネット上から自分の写真を消したいと思っても消せないのに、全てが消えるなんてあり得るんだろうか。

「マイケル!」

深田はマイケルを振り返った。

「エリの写真が全てネット上から消えた」

「ほう、なるほどな。そういうことか」

「どういうことよ」

「内閣情報調査室だ」

「内調って、日本のCIAみたいなとこでしょ?」

「そうだ。ネット上から全ての情報を消すなんて、日本では内調しかできない」

「なに?それってどういうこと?」

「内調の中にダブルスパイがいて、エリを匿っているってことさ。一般人にネット上の全ての自分の情報を消すことは出来ない」

そうだ。マイケルがFBIに保護された時、ネット上のマイケルの写真も情報もほぼ全てが消された。そんなことは国家にしかできない。

「内調って、政府の情報調査局が私たちの敵になったってこと!?」

言われてみれば、内調とつながっている人たち数人から「R社のことを内調は把握してますよ」と言われた。でも、全員が「内調は深田とは会いません」と断ってきた。

「福島瑞穂と内調が繋がってるんだろう」
確かに福島瑞穂は内調に何度となく情報提供するように指示している。

「内調のなかにダブルスパイがいるってこと?」

「もちろん。日本の情報は韓国中国に駄々漏れだからな。そのうち、内調内部の人間は消されるだろう」

なんで?と聞こうとした瞬間に株主たちがぞろぞろとオフィスに入ってきた。そうだ、今日は株主総会だ。

「それではこれより、R社の臨時株主総会を開きます」

株主たちを前に深田は総会を開始した。

「株主の皆様、本日はお忙しいなか急な召集にも関わらずありがとうございまし・・・」

深田は謝辞を述べた。

「議長」

マイケルが深田の言葉を冴えぎる。

「R社は、本日をもって全ての営業活動を停止し、解散することをここに求める」

その場の空気が凍りついた。

解散なんて、聞いてない。

説明しろと求める株主、深田はマイケルの顔をみつめる。

「開発は破壊され、全てが盗まれた。ゲームオーバーだ」

マイケルは冷酷に答えた。


TO BE CONTINUED

2015年12月19日土曜日

事件サマリー:第28回戦 嗚咽


エリと連絡が付かなくなって何日もが無為に過ぎた。
食事をしようとすると嗚咽で呑み込めず、ダイエットでは落ちない体重があっという間に3キロ落ちた。

「エリちゃんが裏切る?」

裏切ったかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
彼女の意思かもしれないし、そうじゃなかもしれない。
自分が頼りない人間だから、愛想尽かされただけかもしれない。
それは、自分には分からないことだ。

でも、この一年間これだけ脅迫されたり、なんだかんだあったんだから、もしかしたらエリも脅迫されて拉致されたのかもしれない。
そんな考えが浮かんでマイケルに電話をすると、

「脳みそ足りないな。裏切られただけだ」

「毎日エリとご飯食べてたのよ」

「それがどうした。金を積まれたら、お前とするより豪華な食事が一笑できる」

「信頼関係は?」

「金より安いってことだ」

そう言われて、深田はカッとなって電話を切った。

「なんで、マイケルは人の気持ちわからないの」
深田はスマホの電話帳を端から端までチェックした。こう見えても顔は広い。相談に乗ってくれる人が一人くらいはいるかもしれない。そこに、一人のジャーナリストの名前が見えた。

彼は内閣に情報を提供しているジャーナリストなので、もしかしたら政府に繋がっているかもしれない。

「もしもし?」

「あれ、深田さん」

深田はエリが失踪した件で、どこかに相談できないかを尋ねてみた。

「内閣情報調査室ですね」
彼は応えた。

「なんですか、それ」

「日本に諜報機関はありませんが、いわゆる、CIAのカウンターパーティー的な位置づけです。そこに聞いてあげますよ」

「会えますか?」

彼はさぁ、と言った様子で一度電話を切った。数分後にコールバックがあった。
「深田さん、内調はR社の件を把握しています」

「ええ?うちみたいなベンチャーのこと何で知ってるの?」

「雑誌『外交』と産経新聞でしょ。派手でしたからね」

「じゃあ、会えるんですか?」

「内調は、貴女には会わないと回答しました」

「そりゃそうですよね・・・」

深田はただの民間人だ。政府関係の人間が会うわけもない。

オフィスチェアに座り、大きくのけ反って天井を見た。

「議員に相談すればいいのかも」
そうだ、拉致関係に強い保守系の国会議員に相談すべきだ。
居ても立っても居られなくなって、知り合いの社長に拉致に強い議員を紹介してもらった。

議員秘書が会ってくれて、すぐに警察関係や政府系の調査機関に問い合わせるので少し時間が欲しいという回答があった。

数日ほど連絡なしに過ぎ、ある土曜日の朝、Facebookを見るとエリのアカウントが消えていた。エリのブログも、SNSも彼女への手掛かりがどんどん消えてきている。

深田はすぐに議員秘書に電話をした。
早くしないと、手掛かりが消える。

土曜日、日曜日と電話をしても繋がらず、月曜日に秘書から折り返しがあった。

「土日に電話してくるなんて、お前は常識が無いのか!そんな緊急の事態があるのか!」

第一声は怒鳴り声だった。

「あ、すみません。エリの手掛かりがなくなってきているので・・・」

「知るか!警察でも行け!」

そう言って、電話は切れた。

深田はツーツーとなるスマホを見つめた。

「これが拉致問題の議員秘書だなんて・・・」

確かに拉致されたとは限らない。
エリは私を嫌って連絡してこないだけかもしれないし、本当に失踪したのかもしれない。自称エリの母親が本物かどうかも分からない。

無力感で、スーッと涙が流れた。


TO BE CONTINUED