北京は零下。
寒さが染み入る。
ソウルでのフライト遅延の為に空港に取り残され、九時に飛ぶはずの飛行機が来ないままに、夜も更けた十一時にはパチンと空調が切られた。
ゲッ。さすが節約家の中国。
上海行の飛行機は遅れに遅れて五時間遅れの深夜一時に出発し、上海に着いた頃には朝の三時だった。
電車もバスもとうの昔に終わり、タクシーは二百人の行列に三台。
自分たちにタクシーが来るのには、二時間はかかるから、歩いてホテルに向かった方がいいと言われた。
気温0度の上海の道を、スーツケースを押しながら四キロの道のりを歩く。
だだっ広く、先が霞むくらい長い上海の道のり。
こうやって、なす術のない事象に直面することは、たまには必要だなぁと思ったよ。
四十分ほど歩いたところで、アシスタントが、
「そういえば、私、この三週間で一週間しか家にいないんですけど」
とポツリ呟いた。
私は、
「あ、そう。ラッキーだね。私はこの一ヶ月で二日しか帰ってないから、君はまだまだイケるな」
と応じた。
運命は、時に逆らい難い。
大自然のように。
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